郵政研究所月報

2002.7

調査研究論文

郵便局における運搬作業の負担軽減に関する研究


通信経済研究部主任研究官(技術開発研究担当)  松澤 勇一


[要約]
 本研究は、郵便局における郵便物搬送作業の中で、ロールパレットと小包区分機のインダクション又はシュート間における小包運搬作業について、人間工学的方法を用いて定量的に検討し、作業者の負担を小さくする作業環境(高さ)の提案すること等を目的として実施した。
 本実験は、大きく、三つに分けられる。(1)小包区分機のインダクションの高さの最適化実験、(2)小包区分機のシュートの高さの最適化実験、(3)透明・不透明ケースを用いた重量物ハンドリング作業の検証実験である。それぞれ、被験者10名(男5名女5名)の筋電図データ等を収集し、分析を行った。 
 インダクション又はシュートの高さの最適化実験については、筋電図の平均実効値の標準化データを従属変数、身長に対する台の高さの割合を独立変数とする2次回帰分析を行った。 
 透明・不透明ケースを用いた重量物ハンドリング作業の検証実験については、多元配置分散分析を適用した。 
 パレットとインダクション又はシュート間の小包運搬作業について、最適な高さを検討した結果は次のとおりである。 
インダクションの高さの推奨値は65cmから67cm程度である。
  シュートの高さの推奨値は58cmから63cm程度である。ただし、推奨範囲内で現場に即して設計することが望まれる。
  また、透明・不透明の2種類のケースを用いて、筋負担がどのように変わるかを検討し、以下の知見が得られた。
パレット上段での持ち上げ作業の方が負担が大きい。 
透明ケースは、運搬物の質量やパレットの上下段に関わらず、不透明のケースに比較して、作業者の負担がより小さい。


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