郵政研究所月報

2003.1

調査研究論文

インクジェット用光沢葉書の紙質に関する調査研究


通信経済研究部(技術開発研究担当)主任研究官

細川東洋一

研究官

北島  光泰



[要約]

1 インクジェット用の郵便葉書は、平成9年度において初めて発売されて以来多くのお客さまにご利用いただき、好調な伸びを示してきた。
 この間、パソコンやプリンタの高性能化、デジタルカメラの普及などにより、写真の印刷に適した「光沢タイプ」のインクジェット用郵便葉書の発売を望む声をお客さまからいただくようになってきたことから、光沢タイプのインクジェット用郵便葉書の性能設計に関する研究を進めている。

2 現在市販されている光沢タイプの葉書用紙には製法、種類、販売価格等を異にするものが多種類存在している。そこでまず、お客さまの光沢葉書に対する嗜好を把握するため、アンケート調査を実施した。
 調査の方法は、製法、光沢感、紙質等を異にする代表的な市販葉書用紙に写真画像を印刷して見本サンプルを作成し、それをお客さまに見ていただき「光沢感」、「こわさ(紙の腰の強さ)」、「発色性」等に関するデータ収集を行ったものである。

3 その結果、光沢葉書に関するお客さま嗜好は、用紙の「光沢感」が高く、「鮮やかで、透明感のある発色」と「ナチュラルで自然な白」の質感が得られるものを求めていることが判明した。また、既存のインクジェット用郵便葉書の利用は、30代が最も高く、「5年以上(捨てないを含む)」保存しているという実態も明らかになった。

4 こうした調査結果を基に、用紙を抄造するメーカとの間で研究会を発足させ、性能検討、試作抄造、印刷テスト等を行って性能設計を進めている。
 現段階におけるインクジェット用光沢郵便葉書の性能設計は、製法:キャスト、通信面:高光沢タイプ、あて名面:原紙タイプとし、光沢感は「写像性」規格と「カラースケール」でコントロールする方向である。

5 現在、試作葉書により、あて名面における料額印面・くじ番号の印刷適性、通信面におけるプリンタ適性等の実験を重ねている。



全文 インクジェット用光沢葉書の紙質に関する調査研究(1/3 2/3 3/3