77 1995年3月

『郵便業務におけるORによる意思決定支援』

―科学的意思決定手法の確立に向けて―

                        技術開発研究センター主任研究官 磯部 俊吉
  1.  郵便の計画・管理業務における区分・輸送ネットワークの決定、運送便のダイヤ編成、集配区画の設定、要員配置等の意思決定は担当者の知識・経験に依存しているところが多いのが現状である。一方、オペレーションズ・リサーチ(OR)による意思決定は、問題を客観的にかつ定量的にとらえて、問題解決に科学的手法を取り入れることによって1つの最適な解を得て、その解を意思決定者の判断材料にすることにより、意思決定をより適切でかつ迅速に行おうとするものである。
  2.  海外の郵便事業では、近年、シミュレーションにより地域区分局の設備計画を検証したり、配達ルートの最適化を行ったりするなど、ORや意思決定支援システム(DSS)の研究が盛んに行われ実用化されつつある。また、日本の民間類似企業でも、配送スケジューリングシステム、バス路線計画システムなど郵便業務のDSSを検討する上で参考になる例がある。これらのようにORやDSSの実用化により業務の効率化等かなりの効果を挙げており、学ぶべき点が多い。
  3.  日本の郵便業務においては一部DSSの導入は図られているが、欧米に比べてOR等によるシステムの最適化が十分行われているとは言えない。今後、計画・管理業務の合理化に資するため、区分・輸送システム等の最適化を図るOR手法を確立し、関係の部局と密に連携しながら具体的なDSSの開発等を行っていく必要がある。