No.93 1996年6月

郵便窓口サービスの総合化について

                             技術開発研究センター 荒井  広

 現在、郵便の窓口には総合窓口と機能別窓口の二つの種類がある。総合窓口とは一つの窓口ですべての郵便サービスを提供する窓口であり、機能別窓口とはサービス種別ごとに開設された窓口である。日本の場合、窓口数が1及び2窓口の小さな局では、事実上、総合窓口となっている局が多いが、窓口数の多い大きな局では機能別窓口が大勢を占めている。
 諸外国における郵便窓口の構成は、機能別窓口から総合窓口へ変遷してきていることがうかがえる。総合窓口への移行を図るにあたり、米国ではポスタルストアを核とした顧客セグメント化をベースにした総合窓口化を進めており、フランスでは無人化コーナーの強化と有人サービスの充実を図りつつ、総合窓口の効率的運用を行っている。
 総合窓口と機能別窓口を比較してみると、お客さまの並び直しや不公平感の解消、要員配置の柔軟性向上などの点で、総合窓口の方が優れているといえる。しかし、その一方で、総合窓口では日締め等の時間が長くなるというデメリットがあり、これを避けるあまり、大きな局における窓口の総合化は遅れているといえる。このようなことから、定性的な点ばかりではなく、定量的な点でどちらの窓口がどれだけ優れているか評価する必要がある。そこで、計算機を用いたシュミレーションによって、来客数が変わると、総合窓口と機能別窓口の待ち時間や待ち行列がどのように変化するかを調べた。その結果、サービス水準を著しく低下させずに対応できる来客数や待ち時間の点で、総合窓口は機能別窓口よりかなり優れていた。また、このシュミレーションの結果をもとに、日締め等の時間も考慮して業務効率(局員一人が1時間に対応できるお客さまの最大の人数)を算出すると、この業務効率においても、総合窓口の方が効率的であるという結果が得られた。
 総合窓口をより有効に運用するためには、総合窓口になることによって長時間化する日締め等の時間を短くしていく必要があり、特に切手類の残数確認作業を軽減する方策を見い出すことが大切である。また、将来にわたり総合化を進め、効率的な窓口を構築するためには、窓口の在るべき姿を策定し、そのコンセプトに基づくお客さまのセグメント化と窓口システムのインテリジェント化が不可欠である。