債券利回りの分析・予測


                               第三経営経済研究部 仲島 一郎
                                         河原 伸一

  1. 債券利回りの分析・予測のアプローチは、利回りの変動を(1)諸々の経済要因で説明しようとするもの(ファンダメンタル分析)と、(2)過去の債券利回りの変動自身などの要因で説明しようとするもの(テクニカル分析)の2つに大別できる。

  2. ファンダメンタル・アプローチでは、経済学的分析方法を利用することにより、債券利回りの構造の理解を図ることが中心的な目的とされている。

  3. 市場参加者の意思決定が不確実性の下で行われるため市場参加者間の行動に強い相互依存性があることから、比較的短期間でみた場合、債券利回りが、それを規定する経済の諸条件から離れてしまうことがある。

  4. このような動きをとらえるものとして、相場実務の中で開発されてきたものに、テクニカル分析がある。テクニカル分析には必ずしも経済学的根拠が明確でないものもあるが、それを通してマーケットのクセに迫ることが可能である限り、債券利回りの分析・予測のアプローチとして、検討の対象とする必要がある。

  5. ルイ・バシェリエが、現在の証券価格の動きは過去の価格変動で十分に説明できない(ウィーク型効率的市場仮説)と指摘して以来、この仮説を検証すべき数学的・統計学的手法が開発されてきた。本稿では、日本の債券市場の効率性を分散制約テスト、連検定、自己相関係数検定により調べてみた。