商品ファンド発展の意義と課題


                                第三経営経済研究部 長島 俊一
  1. 「商品ファンド」とは、投資家から集めた資金を、専門業者が、主として原油、穀物、貴金属などの商品及び金利、通貨等金融商品の先物市場等で運用し、得られた利益を投資家に還元する商品である。

  2. 日本では、1988年以降これまでに、リミテッド・パートナーシップ型をはじめとする3つの形態で販売されてきた。そのほとんどは、期間5〜7年で、運用資金の60〜75%を金地金に投資して元本確保を図り、残りの25〜40%を先物市場で運用して高収益を狙うというものである。

  3. 先進国である米国では、85年に元本保証型の商品ファンドが販売され、さらに、87年のブラック・マンデー後の株価低迷の際に高収益をあげたことで、広く一般に認められて以降急速に発展し、現在では、資産残高200億ドルに達しているとみられる。

  4. 日本では、商品ファンドは、確実に増加を続ける国民の金融資産の、分散投資の対象の一つとして注目されている。また、その成長によって、世界的にみてまだ小規模の国内商品市場へ資金が流入し、国際的に通用する市場へ発展することが期待されている。

  5. 商品ファンドの販売には、リース会社、信販会社、商社、商品取引会社、証券会社、信託銀行など、多様な業界が参入してきており、各業界とも、それぞれの得意分野から積極的に取り組んでいこうという姿勢がみられる。

  6. 商品ファンドの発展のためには多くの課題があるが、業際問題など制度改革を含む金融自由化の流れの中で、ノンバンク企業が商品ファンドの販売を通じて、新たに金融商品の担い手として参入してきたことは意義深い。今後は、さらに競争が促進され、より安全で魅力的な投資商品が提供されることが期待される。