「ファシリティマネジメントの現状とその重要性」


                           第三経営経済研究部研究官 野田 智嘉

1 ファシリティマネジメント(以下FMと記す)の発祥は、科学的な経営管理手法が確立した19
 60年代のアメリカにみることができる。

  しかしながら、当時のFMは、主に最適立地モデル、空間配置モデルなどオペレーションズリサ
 ーチに基づいたシステマティックな手法を指しており、今日的な意味合いのものではなかった。

2 FMの概念は、時代とともに変化し、今日では企業が所有するあらゆる資産(資源)を統合的に
 運用し、長期的な視点に立って効率的な企業運営を図る手法を意味している。

3 FMが注目を浴びるに至った経済的背景には、2度にわたる石油ショックと、その後の景気の低
 迷や企業競争の激化による経営環境の悪化が挙げられる。

  また、社会的、技術的背景としてM&A増加による企業資産の正確な把握の必要性、コンピュー
 タの低価格化及び高性能化による大量データ処理の実現などが挙げられる。

4 FMの業務は多彩であるが、FMの意味の性格上、企画・計画に重きがおかれる。

  企画・計画では、施設に関する中長期の計画について企業の経営方針やさまざまな環境の変化を
 リンクさせ、経営戦略を策定するのである。

5 郵政省は、全国に約24,000の郵便局舎をはじめとして、他の企業に類をみないほど多種多
 様な施設を管理しており、「人」「もの」「金」を事業体の経営資源として最も効果的、効率的に
 生かし、事業経営の変化に適切に対応できる統合的かつ総合的な施設管理業務の高度化が迫られて
 いる。

6 国営事業においてFMを推進する場合、さまざまな法的規制を受けるため、その法の意義や内容
 を踏まえた上で事業目標を設定し、それに則したかたちでFM推進計画を策定していく必要がある。

  そして、今後とも戦略的計画の推進、また、施設管理の思想的一貫性を図る必要がある。