「政府保証債の財政的・金融的意義」


                           第三経営経済研究部研究官 仲島 一朗

1 政府保証債制度は、沿革的には財政投融資制度より古く、もともと財政投融資とは別個の制度で
 あるが、財政投融資制度の確立後は、その原資の一環として位置づけられ、現在に至っている。

  近年、財政投融資の原資のなかでの政府保証債の量的重要性は低下しているが、資金運用部が能
 動的、自律的に量を決定し得る資金として、その量的な重要性は高い。

2 政府保証債は、最終的には政府の信用に依存する「準国債」である一方、一次的には各公庫・公
 団等の債務であるという二面性を持っている。

  このため、政府保証債は、事業債とも、国債とも異なった性格を有することになる。

3 事業債との比較でみた場合、政府保証債は、保証を付されることにより、公的な位置づけを与え
 られているため、発行条件や消化方法において、優遇されている。

4 国債との比較でみた場合、政府保証債は、国の債務そのものではないため、その発行や管理の面
 において、より柔軟な扱いが可能となっている。

5 このような政府保証債の二面性は、それを支えている要因の変化に伴い、今後変化していくと考
 えられる。

  たとえば、発行条件の実勢化、弾力化が進むことにより、政府保証債が国債に吸収、代替される
 可能性も考えられる。