ファイナンス研究の最近の動向−ベンチマーキングの時代−


                       郵政大臣官房国際部国際政策課   河原 伸一
                      (前郵政研究所第三経営経済研究部)

1 本調査では、3つの視点から、市場の効率性に関する実証研究をサーベイし、追試を行った。

2 第一のテーマは、先物市場の導入が現物市場に与える効果である。我が国の株価指数の日次終値
 を分析する限り、先物市場の導入は現物価格の変動を増大させているが、同時に、自己相関係数の
 低下も見られ、市場の効率性が向上している。

3 第二のテーマは、取引ルールである。フィルター・ルールによれば、国債先物市場は、非効率的
 であり超過利益をあげられる可能性がある。

4 第三のテーマは、カオスである。相関次元、BDS統計量、R/S統計量、ハースト指数による
 金融資産価格の分析が行われているが、未だ決定的な証拠は得られていない。

5 最近、我が国においても「日本金融・証券計量・工学学会」や「日本ファイナンス学会」といっ
 たファイナンス専門の学会が設立され、ファイナンスの研究体制が強化された。今後、産学官間の
 ベンチマーキングが進み、ファイナンス研究の量的・質的拡大が期待される。