郵政研究所月報

2000.6


調査・研究

ファイナンスの新潮流と銀行の営業戦略 
〜プライベート・エクイティーにどう取り組むか〜


第三経営経済研究部研究官  山崎 知洋 

[要約]

1.プライベート・エクイティー投資(以下PE投資)と呼ばれる投資手法が注目を集めている。その主なものには、ベンチャーキャピタル、バイアウト、破綻証券などがあるが、いずれもこれまでの我が国のファイナンスの主流であった銀行融資などの間接金融にはないメリットを有し、新たなファイナンス手法としての重要性が高まっている。

2.また、最近になってインターネットの普及、新規株式公開市場(IPO市場)の創設、株式交換によるM&Aの解禁や投資信託の普及など、様々な変化が生じているが、これらはいずれもPE投資の普及促進に資するものである。

3.PE投資の普及により、これまで金融市場から直接資金を調達することが困難であった未公開企業が、銀行融資に代わる資金調達手段を持つことになる。この結果、間接金融における付加価値は低下するとともに、銀行の持つ機能を金融市場が代行する動きが広がり、銀行は直接金融と間接金融の垣根を越えた厳しい競争にさらされることになる。

4.銀行は、系列のベンチャーキャピタル子会社を通じて既にプライベート・エクイティー・ファイナンスに参入しているが、これまでは必ずしも積極的にリスク・キャピタルを供給してきたわけではないと思われる。今後は、銀行のグループ力を生かし、外部企業との提携などを通じて、ベンチャー・キャピタル子会社を強化し、企業へのファイナンス手段を多様化することが必要になってくるのではないだろうか。

全文『ファイナンスの新潮流と銀行の営業戦略〜プライベート・エクイティーにどう取り組むか〜』PDF