郵政研究所月報

2000.6


調査・研究

地方銀行の店舗外ATM・CD展開1)


第二経営経済研究部研究官  奥田 健一 

[要約]

1.銀行の店外ATMは銀行と顧客をつなぐ重要なチャネルとしてこれまで安定した発展を遂げてきている。地銀の店外ATM設置箇所数は最近10年間で年間約1,000ヶ所のスピードで増加しており、1999年3月には16,625ヶ所に達している。また、地銀の有人店舗数に対する店外ATM設置箇所数の比率は1999年3月には約133%となっており、地銀が積極的に店外ATMを展開してきたことが伺える。

2.地銀の店外ATMの展開に影響を与える要因として銀行の有人店舗数に焦点を当てて分析を行った。その結果、地銀全体では@預金残高に対する有人店舗数の比率が低い銀行ほど店外ATM比率が高い、A可住地面積に対する地銀有人店舗数の比率が低い地域の銀行ほど店外ATM比率が高い、B地域内の地銀有人店舗数に対する自行有人店舗数の比率が低い銀行ほど店外ATM比率が高い、C地域内の地銀有人店舗数に対する大手行有人店舗数の比率が高い地域の銀行ほど店外ATM比率が低いことが示された。

3.最近では銀行が異業種との提携を通してATM網を広げていく動きが活発になってきている。このうち郵貯ATMとの提携については2万4千以上という郵便局の広大なネットワークもさることながら、それが全国にくまなく展開されていることが大きな特徴であり、地域を問わずどの地銀にとってもネットワーク拡大のメリットが期待できる。

4.コンビニATMについては、家の近くで気軽に立ち寄れるという身近さと多くの店が年中無休で24時間営業という点が大きな魅力となっており、郵政研究所のアンケートでもATMがあったらいいと思う場所のトップはコンビニとなっている。既にサービスを開始しているイーネットは、2001年3月にはATM設置店舗を5,000に拡大する予定である。

5.今後の地銀の店外ATM展開は、これまで以上に効率を重視した配置を行う傾向が強まると思われる。一方コンビニATMは今後さらに活発な展開が予想されるが、銀行にとってはコストが低い反面、銀行とコンビニという異業種間の利害が一致しない場合も想定され、自前の店外ATMと比較して若干不安定な要素があることも否定できない。したがって、コンビニATMに参加する銀行にとって、今後は自前の店外ATM網の効率化と同時にコンビニATMと自前のATM網とをどのように効率的にバランスさせていくかが課題になると思われる。

全文『方銀行の店舗外ATM・CD展開』PDF