郵政研究所月報

2000.9


調査研究論文

機関投資家の運用体制


第二経営経済研究部研究官

濱本 浩幸

[要約]

 近年、金融自由化の進展やデリバティブ取引の拡大、リスク管理についての国際的論議の高まりを受け、リスク管理の重要性が高まっている。このような状況の中、生命保険会社等の機関投資家はどのような運用体制・リスク管理体制を築いているのであろうか。
 本稿では、生命保険会社等の機関投資家に対して実施したヒアリングの結果を基に機関投資家の運用体制の実態について観察する。ヒアリングは生命保険会社、損害保険会社、都市銀行、系統金融機関、信託銀行に対して実施し、@資金運用に関する組織、A資金運用に関する管理体制、B運用実績の評価、Cリスク管理の実態について調査している。
 ヒアリングの結果、次のような特徴がみられた。
 資金運用に関する組織については、@フロントオフィスとバックオフィスは完全に独立している。Aリスク管理を行うミドルオフィスは独立していく傾向にある。
 資金運用に関する管理体制については、@経営陣への情報伝達に当たっては委員会制度が採られていることが多い。Aミドルオフィスが運用の監査をしているところがほとんどである。
 運用評価の方法については、比較評価が用いられていることが多く、その結果は運用プランニングに反映させているところがほとんどである。
 リスク管理の方法については、ALMを基本としつつ、短期的にはVaRを重視しているところが多い。また、信用VaRをみるところが増えてきている。リスク管理については、負債の特性に応じた管理が行われている。

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