マルチメディアのメガ・トレンドとネットワーク政策


                              情報システム研究室 戒能 健史

1. 最近の技術革新によって、通信、放送等のサービス、コンピュータ、家電機器等の機器・製品に
 急激な「マルチメディア化」の波が押し寄せており、今後の情報、通信、放送、家電等の分野に大
 きな環境の変化をもたらすものとして注目されている。

2. いわゆる「情報家電」と呼ばれる「マルチメディア」は、CD、LD等の映像・音声記録メディ
 ア、パソコン、テレビジョン受像機、さらに電話、ファクシミリ等の通信機器の機能を統合しなが
 ら、徐々に一般家庭に普及していくと考えられる。

  他方、通信分野では、音声、データ、テキスト、映像等の異なる形態の情報を複合的・統合的に
 扱い、さらに多チャンネル映像伝送も可能な「マルチメディア・ネットワーク」が、今後のB−I
 SDN(広帯域ISDN)等によって現実化する。

3. 米国では、急速に高まる映像メディアの多チャンネル化・多メディア化ニーズの中で、電話会社
 のネットワークを活用する映像系サービスの解禁等、新しい環境の整備が始まった。今後は、情報、
 通信、放送等の異業種での競争と融合が進み、「情報家電」がネットワーク化されて利用される
 「マルチメディア社会」への歩みが加速されると考えられる。

4. B−ISDNは、現在諸外国の政府、通信事業者等が実サービスの開始へ向けて最終的な試行実
 験を競っている段階にある。我が国では、試行実験とともにB−ISDNに不可欠なFTTHの構
 築問題の解決、通信と放送の融合に係る制度的な整理等が必要であり、マルチメディア時代へ向け
 て、技術革新、諸外国の動向、潜在ニーズへの対応等に遅滞なきよう種々の環境の整備に早急に着
 手する必要があると考えられる。