景気変動と国際通話需要


                               通信経済研究部 山 崎  健

1. 本研究においては、1970年から1991年までの22年間の月次の国際通話トラヒックデー
 タを用い、我が国の景気変動と国際通話需要との間にどのような関連があるかを分析する。

2. 分析期間である1970年から1991年までの間、国際通話トラヒックは著しく伸びており、
 国際通話トラヒック(発信分数)は22年間で約138倍にもなった。

3. 通常、経済指標と景気変動の関連は、絶対量の増減又は対前年同月比により判定される。しかし、
 国際通話トラヒックは上昇傾向が極めて強いため、トラヒックの増減や対前年同月比だけで景気変
 動との関連を見るのは困難である。そこで本研究では、時系列解析の手法により、景気変動と国際
 通話需要との関連を推定する。

4. 具体的には、国際通話トラヒックのトレンドの型を仮定し、国際通話トラヒックの原系列の動き
 から、循環変動を分離することにより、国際通話需要が景気変動に対して先行性があるか又は遅行
 性があるかを検証する。

5. その結果、景気変動と国際通話需要との間に関連が認められ、国際通話需要は景気の山に対して
 先行し、景気の谷に対して遅行する傾向があることを明らかにしている。