No.64 1994年2月

「米国における移動無線サービスの規制の現状と動向−セルラーサービスに対する各州の規制を中心として−」

                                             通信経済研究部
 PCSの導入が目前となっている発展著しい米国の移動体通信の今後の動向と深くかかわりを持つ移動無線サービスに対する規制の現状と動向をセルラーサービスに対する州の規制を中心に取り上げる。

1 米国では、1934年通信法に基づき、州際及び国際通信についてはFCCが、州内通信については各州が、規制権限を有している。移動通信については周波数管理の観点からFCCが一元的に規制を行っているが、州によっては公益事業委員会が各種の規制を行っているところがある。

2 各州レベルで規制を行っている場合は、CPCNと料金(タリフ)に対するものが中心である。セルラーサービスについて、卸売り及び小売り段階の両方で規制をしているか、卸売り段階のみか、いずれの場合も不要なのか等によって、規制、部分規制、非規制に各州の規制レベルをひとまず分類することができる。

3 州レベルでは、それぞれの州法に基づき、公益事業委員会が規制を行っているため、州により規制の態様はまちまちである。本稿ではCTIAの分類によったが、同じ分類の中でも会計報告の要否や、一般料金は非規制でも相互接続料金に規制がかかる等各州で様々である。

4 従来の各州レベルの規制は、1993年8月成立の財政調整法に基づく通信法の修正により大きく変容を迫られている。すなわち、今後は連邦が州の規制に優先することとされ、現在、各州が行っているセルラーサービスに対する規制を続けるためには、1994年8月10日までにFCCに対して規制を続ける必要性を示し、その承認を得なければならないこととされたためである。FCCは、法を実施するため、規則を定める必要があり、PCSを含む移動無線サービスの規制上の位置付け、取扱いをどのようにするか等について、公衆の意見を求めており、最終的な規則がどのようなものになるか、今後のサービスの展開と絡んで大いに注目される。

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