No.66 1994年4月

「郵便の地域構造に関する分析」

                            情報システム研究室研究官 外薗 博文 
1 近年のめざましい情報化の進展により、膨大な情報資源がストックとして東京に集積され、特に、放送番組等のマスメディア情報においては、東京発信情報の圧倒的な支配がみられる。国土の均衡ある発展を目指し、東京に一極集中した諸機能を地方へ分散化しようとする流れの中で、情報についても正に議論の対象となっているところであるがこの分野における研究は少ないのが現状である。本件は、代表的な情報媒体である郵便をとりあげ、地域相互間の情報交流といった視点から、その地域構造の分析を行ったものである。

2 まず、交流距離による分析では、各都道府県の郵便の交流距離は、地理的な位置関係とりわけ東京都といった大都市圏との位置関係により大きな差異がみられる。また、郵便の種類別にみた場合でも、その利用特性により交流距離に特徴がみられる。

3 更に、情報をフローからみた場合、発信と着信において地域的なバランスがとれていることが望ましいが、このバランスは、量的に単なる多い少ないという議論でなく、その背景となる地域の人口や経済活動等の諸々の要因から判断すべきである。郵便の発信量、着信量を、人口や経済活動を説明変数としたモデル分析を行った結果、発信量や着信量はこれらの変数との因果関係においてほぼ説明される範囲内にあり、特に、郵便の東京一極集中といったような顕著な現象は認められなかった。

4 交流率による分析では、各都道府県とも近隣との県との間で高い交流率を示しており、郵便の交流の地域性が認められ、広域の情報交流圏域を特定できた。また、交流率の距離モデルによる分析においても大都市圏や地方により特徴がみられる。

5 このように、情報の媒体として郵便を考えた場合、郵便による情報の流れは、地域の諸活動をほぼ適正に反映しており、この意味でバランスのとれた情報メディアであるとも言える。

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