No.71 1994年9月

「中国における経済発展と通信基盤の役割」

                             第三経営経済研究部研究官 小池 信也
1 ここ数年経済発展が急速に進む中国では、電気通信基盤の整備が積極的に進められている。郵便と電気通信を合わせた業務量は、1991年以降、対前年比で30%以上の伸びとなっている。特に、電気通信業務の発展が著しいことが特徴である。

2 1993年の電気通信の発展の中で、とりわけ長距離回線の充実、市内電話の発展、市内電話のうちの住宅加入者割合の増加が顕著である。移動通信も、前年比で倍以上と極めて早いペースで成長している。また、電気通信関連分野に93年には404.1億元の設備投資が行われ、対前年比150%という非常に大きな伸びを示している。

3 西暦2000年までの中国の電気通信整備計画では、電話機普及率を全国で100人当たり8台、加入者回線の普及率は同6.5回線、総交換機容量は1.4億端子を実現することにより、郵電事業の収入をGNPの6%にまで高めることが目標とされている。

4 中国において、電気通信の発展が中国の社会経済に与える影響としては、・中国経済の中での郵電部門の占める割合の上昇、・新たな情報通信産業の出現による雇用の創出と、電気通信基盤の存在を前提とした産業の発展、・電気通信基盤整備に伴う既存の産業の更なる発展、・外国からの投資を誘発し、同国経済の発展を更に加速すること、・人々の生活水準の向上と意識の変化、が挙げられる。

5 現在の中国の通信事情は、一言では、「供給が需要を満たしていない」と言うことができる。電気通信基盤整備の問題点として、投資資金の調達、地域間格差の是正、通信の品質の安定化、規格の標準化が挙げられる。

6 中国が今後も持続的な経済発展を遂げるためには、引き続き電気通信基盤を積極的に整備することにより、経済活動と国民生活の安定及び活性化を図ることが重要である。このために、電気通信基盤整備資金の安定的な調達という問題をクリアする必要がある。そのため、現在以上に資金調達手段を多様化することを考えた場合、外国資本の積極的利用に焦点が当てられよう。具体的には、電気通信事業の経営に対する外国資本の参加が議論されると考えられる。

7 電気通信に限らず、中国の発展計画は長期にわたるものであり、国づくりが長期的視点から行われていることを認識する必要がある。

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