No.73 1994年11月

「米国の情報通信基盤整備(その1)―整備に向けた連邦政府の規制と政策―」

                               通信経済研究部研究官 浅井 澄子
1 米国の情報通信基盤は、これまでベルシステム(分割以前のAT&T)による事実上の独占的状態から競争体制へと環境が変化しつつも、伝統的に民間事業者を中心に整備されてきた。FCCは、基盤整備に関して電気通信事業の規制を担当する立場から、当初の事実上の独占を容認する方針から、技術の変化等を踏まえ1980年前後を境に競争導入政策へと方針転換を行ってきた。また、参入規制以外の情報通信基盤整備に影響を与える公益事業規制(料金規制、業務範囲)及びユニバーサル・サービス確保の方策については、FCC及び裁判所による競争条件と競争状態の認識及び需要動向、技術動向の変化に応じて徐々に変更されている。

2 クリントン・ゴア政権は、情報通信基盤の整備が米国の産業競争力を強化するために不可欠であるとの基本認識に基づき、「スーパー・ハイウェイ構想」を提唱し、情報通信基盤整備に積極的に関与する姿勢を示している。その内容は各界の反応を考慮して変化しているが、1993年9月に全米情報通信基盤行動アジェンダが発表され、現在ではその具体的施策が進められている。

3 現在、行動アジェンダに基づくタスクフォースの審議が進められており、これらの結果は、今後の公益事業規制の態様、連邦政府の政策及び事業者による整備の進捗にも影響を与えることが予想される。

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