77 1995年3月

『FCCにおけるユニバーサル・サービス・ファンドの見直し』

                           通信経済研究部主任研究官 柳澤 和子
  1.  近年、米国電気通信分野における将来へ向けてのユニバーサル・サービスについて議論される機会が増えている。これは、技術革新によりサービスの高度化、多様化を迎えたこと、また、特に地域通信分野への競争導入により、かつて独占において維持されてきたユニバーサル・サービスが従来のシステムで維持されることが難しくなってきたこと、等により、新しい時代のユニバーサル・サービスのあり方を検討する必要が出てきたことによる。このような動きのなかで、連邦通信委員会(FCC)も、ユニバーサル・サービス・ファンドの見直しを開始した。
  2.  ユニバーサル・サービス・ファンド(USF)は、ユニバーサル・サービスを維持するための手段の1つであり、高コスト地域での電話サービスを支援するために、長距離通信事業者が負担するファンドから地域電話会社(LEC)の加入者回線コストに応じて補助を行うものである。
  3.  USFによる援助は1986年から開始されたが、当初のUSF8年計画が1993年に終了したため、これを機に資金の配分基準等に関して見直しが検討されることとなった。94年8月に開始され、結論が出るまでにはまだかなりの時間を要すると思われるが、次のような点について関係者の意見を求めている。
  @ USFの効果的なシステム
  A USFによる援助の対象範囲:高度サービスまで含むのか
  B 競争環境におけるUSF
  C 高コスト地域援助の水準及び対象
  D 援助額の算定基準