84 1995年10月
『阪神・淡路大震災時の情報行動〜必要な情報は提供されたのか〜』
情報通信システム研究室研究官 菊池 信輝
- 阪神・淡路大震災は、早朝の発生だったこと、情報通信の機能が著しく低下してしまったこと、という今回の震災特有の状況により、行政、報道の初動が遅れ、被害が拡大してしまった。
- 新聞記事を中心にこの間の情報行動をたどっていくと、被災者の情報ニーズと、提供された情報の間には明確なギャップが存在していた。
- さらに、報道の偏りが地域間の物資や人手の偏在という状況を生んでしまうという状況も見られた。
- そんな中、地域密着型メディアは被災者のニーズをよく汲み上げ、特に被災後の「生活情報」の提供で被災者から高く評価されている。
- しかし、地域密着型メディアにおいてもメディア自体が被災した際の情報収集や意思決定などの課題があったことも事実である。
- 今後の都市部での大規模な災害に備え、通信手段が途絶することのないよう、平時から情報収集、発信力の強化にも努めなければならない。