郵政研究所月報

2000.7


調査研究論文

郵政事業経営に資するナレッジ・マネジメントに関する調査研究 
〜郵政事業の類似企業および郵便局に対するアンケート調査結果分析〜


情報通信システム研究室研究官

美濃谷晋一

[要約]

 情報化の進展と企業の競争環境変化の中で、ナレッジ・マネジメント(KM:Knowledge Management)が普及しつつある。KMは、従業員個々人の持っている知識やノウハウ、いわゆる「草の根の知識」を経営に活かし、競争力を向上させることが、重要な目標とされる。
 一方、郵政省においては、インターネット技術を活用した情報通信基盤の構築を進めているが、郵政事業における「草の根の知識」とも言える、郵便局職員の知識やノウハウをダイナミックに活用する仕組みは、今後の課題になっている。
 そこで、郵政事業へのKMの活用方策とは何かを検討するため、郵政事業の類似企業および郵便局に対するアンケート調査を実施した。本稿では、その結果の一部を報告するが、次のようなことが明かになった。
1.KM の実際
 (1) 現状は現場レベルの活動、今後は戦略レベルの活動に期待
 (2) 我が国のKM はIT および業務効率性重視型
2. KM の光と影(効果と問題点)
 (1) 光の側面
  ・現場レベルで絶大な効果発揮
  ・効果発揮のカギは、経営上位取入れ、推進体制構築、せめぎあい組織への風土改革
 (2) 影の側面
  ・現場への負担増(類似企業、郵便局)
  ・業績格差の拡大、他職員への依存(郵便局)
3. KM 促進上の課題
 (1) IT の整備、従業員(職員)の負担緩和(類似企業、郵便局)
 (2) 情報リテラシーの向上、業務に工夫を反映させる余地の改善(郵便局)
 (3) 成果に対する評価とフィードバックおよび成功事例の蓄積・発信

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