監修:大久保尭夫(*1) 編 :郵政研究所 代表執筆者:金井 郁夫(*2)
科学.技術は、常に多種多様な懸案を包含しながら発展を続けているが、システムとして機能する 人間と機械の接点が、設計者にとって中心的な問題の一つになっている。 今後、機械化が進展するにつれて、これまでの「便利さ」の迫求に加えて、人にあった機能設計、 すなわち、「使いやすい機械」、「使う人にやさしい機械」を研究し、有形化していくことが設計者 の責務である。 また、このヒューマン・マシン・インターフェースを一つのシステムの中で考究し、「使いやすさ とは何か」、「ヒューマンエラーを起こす機能的要因は何か」など、ヒューマンマシンシステム機能 の発揮について科学的に解明し、これを郵便局機能に反映させることが必要である。 そこで、生活空間の拡大に対応した事業サービスの向上を図るための研究の一つとして「人間と機 械及び環境、という人間的要素の研究」をテーマに、部外の人間工学を専攻する研究者と機械系の専 門家など、学識経験者を含めた研究会を開催したところである。 本書は、この人間的要素(ヒューマンファクター)という新しい技法をキーワードとして、より使 いやすく、よりユーザーフレンドリーな機能を目指して、実際に機械を設計する仕事に携わるエンジ ニアなどへの一助として作成したものである。特に、実践面を強調し、ヒューマンファクターの見方、 考え方、手法に関する素養を高めることに焦点をおいて、機械設計における生理的要因への配慮をは じめ、心理的要因への配慮、さらに人体寸法的要因への配慮を章立てて執筆した。