「郵貯・簡保の最前線」


                                     編著:郵政研究所

 経済環境が変われば、郵便貯金・簡易保険も変化を迫られる。変化は危機ではなく機会をもたらす。
 危機を機会とするために、郵貯・簡保はどのような対応が求められているのか。本書は、郵政省郵
政研究所第二経営経済研究部のスタッフが調査し、分析し、議論した結果を書き下ろしたものである。

 まず第1章「金融環境の変化」では、金融の自由化・国際化とは何か、それはどのように進んでい
くのか、を解説する。変化の要因と実体を知らなくては対策の立てようがないからである。さらに、
高齢化社会における貯蓄の意味を考え、こうした環境の変化が金融機関に与えるインパクトを捉える。

 第2章「郵便貯金の対応」では、郵貯への自由化の影響とその対応を考えていく。ここでは民間金
融機関の対応についても見ている。民間金融機関の対応を知ることは郵貯の戦略を立てる上で大いに
参考になる。また、サービス内容・資金運用・経営制度など郵貯の仕組みを概観した後、小口預貯金
金利自由化の推進役としての郵貯、新サービスの必要性、オンラインとネットワーク戦略、地域貢献、
自由化時代の資金運用等の項目について、郵貯の果敢な“挑戦”を展望している。

 第3章「簡易保険の対応」では、簡保への自由化の影響とその対応を考えている。第2章と同様に、
まず民間生保の対応を探っている。次に簡保の仕組みを概観した後、豊かで活力ある長寿社会建設へ
向けた商品・サービスの開発、加入者福祉活動の充実、地域貢献、簡保資金運用等について、積極的
な“挑戦”を展望している。

 第4章は補論である。まず「1.郵貯・簡保の歴史」では、郵便局、郵貯・簡保の歴史を辿り、「
II.世界の中の郵貯と簡保」では、世界の街角で活躍する郵貯・簡保(公的生命保険)についての知
識を得て、日本の郵貯・簡保の今後を展望する。さらに「III.郵貯への5つの誤解」では、郵貯の
経理方法、定額貯金の商品性、郵貯とマネーサプライ問題等、巷間伝えられている郵貯への誤解とそ
れに基づく批判に対し、丁寧に解き明かしている。