(東洋経済新報社・1996.4.発行)

『郵貯・簡保の最新事情』

                                        監修:郵政研究所
 我が国金融・経済環境の変化の中で、生活に密着した身近な金融機関として国民に支えられて発展してきた郵便貯金(郵貯)・簡易保険(簡保)もその変化への対応が求められている。
 このような問題意識の下、郵政省郵政研究所が、金融自由化の進展等の変化の中での郵貯・簡保の取組や課題について調査分析した結果をまとめ、「郵貯・簡保の最前線」として東洋経済新報社から出版したのは、1992年の夏のことであった。
 幸いなことに、この「最前線」は、発売以来今日まで郵貯・簡保のコンパクトな解説書としてもご利用いただいてきたが、その記述を見ると、執筆当時に予測できなかったここ数年の金融経済情勢の激変もあり、必ずしも時勢にそぐわない部分が目立つようになってきている。
 そこで、郵政研究所第二経営経済研究部のスタッフが、「最前線」での成果を出発点としつつ、最近の情勢変化や郵貯・簡保の対応ぶりを踏まえ、新たに調査分析を行い、書き下ろしたものが本書である。なお、本書は郵政研究所が責任をもってとりまとめたもので、郵政省貯金局・簡易保険局の意見を示すものではない。
 本書の構成は次のようになっている。  まず、第1章では、経済・社会環境の変化を、(1)金融自由化の本格化、(2)高齢化の進行、(3)マルチメディア時代の到来、の三点からとらえ、変化に立ち向かう民間金融機関の対応ぶりを概観した上で、郵貯・簡保の果たすべき役割や将来への課題について論じている。
 第4章は、郵貯・簡保が我が国の財政投融資(財投)システムの一部を構成していることに着目し、第3章までとは違った視点から、財投システムのしくみにまでさかのぼって、その中での郵貯・簡保の役割について考察している。
 第5章は、郵貯・簡保に関する論点のうち、誤解や理解不足に基づくと思われる議論が多いものを特に取り上げて、それぞれについての当研究所としての見方を提示している。