単行本


「徹底研究メディア・ソフト 平成10年改訂版」郵政研究所編、クリエイト・クルーズ

 利用者ニーズの多様化やデジタル技術の進展等を背景に、BS放送・CATVの普及、CSデジタル放送の開始、マルチメディア化の進展、インターネットの普及など、メディア・ソフトを取巻く市場環境は大きく変化している。そこで、メディア・ソフトの制作・流通構造について、できるだけソフトそのものの視点から定量的に整理・分析した。

 平成8年度のメディア・ソフトの制作・流通の現状を金額ベースでみると、制作費では映像系ソフトが全体の57.8%と最も大きい。一方、市場規模ではテキスト系ソフトが全体の51.7%と最も大きい。平成4年度と比較して、制作費・市場規模ともに、特に衛星放送、CATV及びマルチメディア・ソフトが急成長している。

 主要ソフトについて、ソフト制作量の何倍のソフト流通量が一年間にあったかを示す「拡大率」をみると、映画ソフトではマルチユースは進んでいるが、その他のソフトに関しては、この4年間を比較してみて期待されたほど拡大率は大きくなっていない。

 以上の結果から、多メディア・多チャンネル時代と言われながらも、マルチユース市場は平成8年度においてもいまだ未成熟であり、一部のソフトへの需要の集中、マルチユースに適したソフトの絶対量の不足等の問題があることが定量的に捉えられた。これらは、メディア・ソフト市場の構造的な問題であるといえる。

 また、最近、インターネットがメディア・ソフトの新たなる媒体として最も注目されているが、その実態はほとんど明らかにされていないことから、その普及の起爆剤となったWWWの現状について、サーチエンジンを活用した独自の調査を試みた。

 これにより、日本(JPドメイン)の総WWWサーバー数は約36,000、総ファイル数は約1,900万ファイルと推計された。

 また、ファイルの内訳をみると、ファイル数ではHTMLファイルと画像ファイルで、全体の96%を占めている。さらに、ファイルのリンク先としては、海外へのリンクが全体の6%弱となっているが、その大半が欧米となっている。