マネーサプライの動向と郵便貯金



                                 第二経営経済研究部主任研究官  小野寺敦子


  マネーサプライ(M+CD)の伸びが90年末以降急速に低下して
おり、92年6月には1%を割るという歴史的低水準となった。この動向を巡って
は、実体経済活動に必要なマネーが供給されず、実体経済に悪影響を与えてしまう
との懸念の声もある。

  こうした議論の中で、郵便貯金の影響を云々する声もある。ひとつはM+
CDの伸び率に郵便貯金が影響している、との見かたである。また、もうひとつ
は、実体経済活動にも影響があるのではないか、という見かたである。

  しかし、マネーサブライの伸びは日銀のハイパワードマネーの供給態度によって
決まる。マネーサブライの伸びが小さいのは、ハイバワードマネ−の伸びがマイナ
スになっているためなのであって、郵便貯金が今回の低下の主因ということはあり
得ない。

  また、郵便貯金に資金が集まると信用創造機能が阻害されるとの指摘もあるが、
郵便貯金も一般の金融機関と同じように、集めたものをそのまま運用するという極
めて単純な行動をとっている。したがって、郵便貯金は資金流通の阻害要因になっ
ているわけではなく、郵便貯金に資金が集まることで、経済活動が妨げられている
との見かたは大きな誤解である。