郵政研究レビュー



                                            (第6号 1995.3.発行)

『日本人はなぜ貯蓄するのか?』

―マイクロ・データによる分析を踏まえて―

                特別研究官(大阪大学助教授) チャールズ・ユウジ・ホリオカ
                         第二経営経済研究部主任研究官 横田 直人
                                    研究官 宮地 俊行
                                    研究官 春日 教測
 本稿では、郵政研究所が1992年12月に実施した「家計における金融資産選択に関する調査」からの個票データを用いて、日本の家計の貯蓄目的について吟味している。本稿は、(1)12の主要な貯蓄目的をすべて取り上げている点、(2)年齢と所得の影響について検討している点、(3)金融資産の蓄積の形の貯蓄のみならず、借入れ返済の形の貯蓄をも考慮している点、(4)各目的のための貯蓄をしている回答者の割合のみならず、各目的のための貯蓄目標額と各目的のための貯蓄のフローをも推計している点、(5)個票データを用いている点において先行研究の多くよりも優れている。分析結果によれば、住宅購入、老後、予備的動機をはじめ、ライフ・サイクル仮説と整合的である目的のための貯蓄が圧倒的に重要であり、日本におけるライフ・サイクル仮説の妥当性が裏付けられる。