(第6号 1995.3.発行)

『金融情報変数とタイムラグ』

                          特別研究官(神戸大学教授) 本多 佑三
                           第二経営経済研究部研究官 上岡 孝一

                                    研究官 洞口 紳也

 本稿は、日本経済の動向に関する情報変数として何が適当か、という問題を中心に検討している。まず、M2+CDの先行指標としての機能が近年薄れていることをVARモデルを用いて確認した。この結論は、頑健であった。M2+CDの代替指標、あるいはM2+CDを補完する指標としては準備修正済マネタリーベースが有力であることがわかった。今後監視を強めるべき指標でもあると考えられる。また、少なくとも本稿における推定結果に関する限り、金利変数のインディケータとしての役割は、総じて限定的なものであった。さらに、金融変数とGNPとの関係については、金融ショックはまず実物経済に影響を与え、長いタイムラグを経て物価を変化させることがわかった。