(第7号 1996.7.発行)

『公的生命保険としての遺族年金の役割』

                        客員研究官(京都大学助教授) 岩本 康志
                        研究官            古家 康博
 本稿は、首都圏に居住する約1,300世帯のマイクロデータを用い、遺贈性向(世帯の総資産に占める遺贈可能資産の割合)の決定要因を検討する。サンプル全体での遺贈性向は、ゼロの近辺と0.4の近辺にそれぞれ山をもつ双方分布になる。このような分布になる理由は、公的年金制度のなかの遺族年金の存在によるところが大きい。遺族年金を説明変数に含む生命保険需要関数を推計したところ、1万円の遺族年金現価に対して、約1,300円の生命保険需要が減少する。この代替関係の大きさは遺族年金以外の非人的資産と生命保険の代替関係とほぼ同じものである。


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