1995年6月:調―95―VI―02

『光ファイバー網構築の分野別経済効果に関する調査研究報告書』

                           通信経済研究部主任研究官 佐々木祐二

                                    研究官 遠藤浩二郎
第1章 本調査研究の目的と分析方法の概要
 情報通信基盤整備により、公共的分野においても高度化社会の到来等に的確に応える多用なアプリケーションが開発されつつある。これにより、公共的分野の費用の節減及びそれに伴う財政負担(公的負担)の圧縮が期待されている。今回の試算では、医療、福祉、教育及び行政の公的4分野を対象とし、現在生じている費用の節減、将来必要となる費用の節減、時間費用の節減を本調査研究における経済効果とすることとした。

第2章 情報通信基盤整備の経済効果
 4分野合計で2000年に約8,000億円、2010年には約7兆2,000億円の費用節減効果(名目値、以下同様)が生じることとなる。また、財政負担については2000年で約4,000億円、2010年には約3兆5,000億円が節減されることとなる。4分野それぞれについては、次のとおりである。

  1.  医療分野においては、情報通信基盤整備が、在宅医療の推進、病院間ネットによる設備の共同利用、へき地医療体制の整備、ネットワークによる予防医療の推進、医療事務の効率化に資するものとした、その結果、2000年で3,078億円、2010年には2兆9,623億円の費用節減効果とともに、財政負担2000年で876億円、2010年には7,318億円節減されることとなった。
  2.  福祉分野においては、情報通信基盤整備が在宅医療の推進、高齢者の就労の促進に資するものとした。その結果、2000年で1,821億円、2010年には1兆8,605億円の費用節減効果とともに、財政負担が2000年で1,048億円、2010年には8,302億円節減されることとなった。
  3.  教育分野においては、情報通信基盤整備が、へき地の生涯学習の推進、大型図書館の共同利用効果、大学における事務効率化、多様な学校教育の実現に資するものとした。その結果、2000年で1,588億円、2010年には9,653億円の費用節減効果とともに、財政負担が2000年で1,552億円、2010年には8,905億円節減されることとなった。
  4.  行政分野においては行政の効率化に資するものとし、その結果、2000年で1,608億円、2010年には1兆4,482億円の費用節減効果とともに、財政負担が2000年で1,006億円、2010年には1兆855億円節減されることとなった。