1995年6月:調―95―IV―01

『身体障害者の情報通信システムの利用実態等に関する調査報告書』

                       情報通信システム研究室主任研究官 五十嵐邦雄
                                    研究官 菊池 信輝
 日本盲人会連合、日本身体障害者団体連合、全日本聾唖連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合の協力を得て、全国レベルでそれぞれの団体に加入している障害者及び一部その家族に対して、電話、ファックス、郵便、テレビ、ラジオといった従来からのメディアの利用実態、また、レンタルビデオ及び最近登場した新しい情報機器の利用実態、更には、緊急時等における情報・連絡手段、連絡の工夫、マルチメディアサービスを含む新しいメディアの利用意向等についてアンケート調査を行った。
 アンケートの結果について、特徴的な点をいくつか挙げれば次のとおりである。

  1.  盲人会の回答者の電話の利用は多く、身体障害者を対象としない同様の調査(以下「非特定の調査」という)と比べても利用は多い。また、聾唖連盟及び全難聴の回答者の電話の利用も非特定と比べて極端な違いはない。
  2.  ファックスの保有率は聾唖連盟及び全難聴の回答者で非常に高く、また、1日の利用率、利用回数、そして利用上の工夫率もともに高い。
  3.  パソコン等の保有率でも聾唖連盟及び全難聴の回答者は非特定と比べて高く、また、パソコン通信の利用率はいずれの団体も非特定より高くなっている。
  4.  盲人会の回答者は、ラジオの平均聴取時間のみならずテレビの平均視聴時間も長い。
  5.  新しい情報機器に関しては、機器により盲人会を除く各団体の回答者の利用率は相対的に高い。
  6.  聾唖連盟及び全難聴の回答者は、突発的事態に対する不安感が特に強い。
  7.  総じて、聾唖連盟及び全難聴の回答者は、盲人会及び日身連の回答者に比べて新しいメディアの利用意向が強い。