1996年6月:調―96―Y―02

『情報通信の高度化を通じたアジア各国への貢献』

                              通信経済研究部研究官 岸本 伸幸
 世界経済が安定的に推移するなかで、近年のアジア経済の成長には目覚ましいものがある。21世紀に向けて我々に課せられた大きなテーマである「世界経済の安定成長」と「地球市民生活の向上」という二つの課題を克服するためには、高度経済成長と35億の人口を抱えるアジア地域を抜きにしては考えることができない。
 こうしたなか、情報通信分野は「情報通信産業の振興」と「情報通信基盤の整備」を通してアジア地域の二つの課題解決、ひいては地球社会の諸問題の解決に大きく貢献できるものと期待されている。
 情報通信の高度化は日本経済の閉塞感の克服、生活様式の変革や危機管理対策、等の国内問題だけでなく、国際経済・社会においても様々な便益を広範囲に及ぼすことが可能と考えられる。
 特に、アジア諸国の多くは情報通信インフラを経済発展基盤としてとらえ、その整備に力を注いでいる。また、各国のリーディング産業として情報通信産業を育成・振興していこうと積極的に取り組んでいる。
 こうしたアジア諸国の経済成長と生活水準向上に向けた気運を助成していくため、我が国としても同じアジア諸国の一員として資金供与、技術支援、人材交流及び、民間活力の導入等を通じた支援の多様化・高度化を図ることが望まれる。