1996年6月:調―96―W―01
『ビジネス分野におけるマルチメディアサービスの利用動向に関する調査研究報告書』
情報通信システム研究室長 横井 功
主任研究官 岡田 裕二
研究官 國井 昭男
研究官 竹山 秀樹
本調査研究は、ビジネス分野のコミュニケーション手段として利用が見込まれるマルチメディアサービスを対象に、ベンダー・電気通信事業者の構想、ユーザ(企業、勤労者)の意識・ニーズ等に関して、アンケート調査等を実施し、マルチメディアサービス利用を促進する、あるいは阻害する要因等を分析した。
(結果概要)
- マルチメディアサービス利用の状況
- 電子メールは約6割の企業において、全社あるいは一部に導入されている。
- インターネットのWWWサーバーの利用は約2割だが、約4割の企業で設置計画があり、今後急速な利用拡大が見込まれる。
- マルチメディアサービス利用の効果・影響
社内コミュニケーションの効率化、及びスピードの向上、組織の情報収集力向上、個人の情報収集力向上等の効果はあるが、組織(業務)の構造的改革には至っていない。
- マルチメディアサービス利用の障害と成功要因
- 障害は、企業、勤労者とも、トップの認識不足、導入コスト・通信コストという回答が最も多い。
- 成功要因は、企業はトップのリーダーシップ、勤労者は一人一台のパソコン環境という回答が最も多い。
また、マルチメディアサービスの利用によって良好な結果を上げている企業にみられる特徴として以下の点が明らかになった。
- 総合組織力
QC的な業務改善を図る一方、トップがイノベーティブなリーダーショップを持つ総合的な組織を有している企業
- 実力主義
年功序列ではなく、業績、能力によりめりはりをつけ処遇する企業
- リアルタイム経営
経営の状況を把握するためにリアルタイムで情報を収集し活用する企業
以上の調査結果より今後のマルチメディアサービス利用の普及促進に関する課題について考察した。
- 企業における課題
- トップの先見性と指導力と組織革新
- 中間管理層の啓発
- 一人一台のパソコン環境
- システム環境の統一とルール作り
- マルチメディアリテラシーを高める組織文化の形成
- 行政・産業レベルの課題
- 規制緩和と事業創造、経営革新の支援
- マルチメディアに関する情報発信と企業・個人に対する啓発・教育
- マルチメディアインフラの整備