1996年6月:調―96―W―04

『郵便局の災害時の情報提供機能の検討に資する災害時における地域メディアの役割と活用に関する調査研究報告書』

                        情報通信システム研究室主任研究官 岡田 裕二
                                     研究官 姫野 桂一
 1995年(平成7年)1月17日の午前5時46分に、淡路島北部を震源とするM7.2の兵庫県南部地震が発生し、神戸市、芦屋市等を中心とする地域で震度7の激震を記録した。兵庫県南部地震によって、家屋の全半壊が約39万棟、火災が約300件、死者が6,400人以上という都市型直下地震としては、未曾有の地震災害(阪神・淡路大震災)を引き起こした。
 この大震災によって、神戸市を中心とする被災地においては、情報の隔絶、情報発信の不能によって、初動体制が遅れ、結果的に被害が拡大したといわれている。マルチメディア社会が目前に迫ったといわれる我が国の情報通信システムの在り方に問題を提供することとなった。
 本研究では、阪神・淡路大震災の発生から復興という過程の中で、被災者が必要とした情報、メディアが提供した情報を整理し、災害時における地域メディアの在り方、活用方策等について調査した。
 その結果、災害発生時においては、被災者に対する情報伝達手段としては、テレビ放送、新聞、雑誌等の全国を対象としたメディアより、むしろ地域密着型のラジオ放送、コミュニティ放送、CATV等のメディアが有効であることが明らかになった。また、パソコンネットワークも災害時における情報伝達手段としては、将来性の高いメディアといえる。これらのメディアは、災害時において地域住民に対し、基幹的な情報提供手段となる同報無線等の機能を補完する役割も期待される。
 今後の災害時における地域メディアは、災害発生後、時間の経過とともに変化する被災者の情報に対するメディアを的確に把握し、そのニーズに即応した情報の提供を行う仕組みづくりが求められるといえる。