郵政研究所研究調査報告書



                                       1997年7月:調-97-VI-01

『地方公共団体等が保有する光ファイバ網に関する調査研究報告書』

                        通信経済研究部主任研究官  神野 克彦
                                 研究官  東海林義朋
 従来、光ファイバ網の整備主体は電気通信事業者、CATV事業者であったが、近年、地方公共団体が行政の効率化、行政サービスの向上、地域振興等を目的として、自ら光ファイバ網を敷設する例が見られ、また、自ら整備した光ファイバ網を電気通信事業者や一般住民に開放し、広範な利用を図ること、将来の計画として念頭においているところも見受けられる。

 地方公共団体が、自ら整備した光ファイバ網を電気通信事業者等に開放することになれば、低コストでの高度通信サービスの提供や地域通信市場への新規参入を容易にする等の効果が生まれる一方で、地方公共団体による光ファイバ網整備が民業を圧迫する可能性も見過ごせない。いずれにしても、我が国の電気通信事業に大きな影響を及ぼすものと考えられることから、地方公共団体の保有する光ファイバ網の活用につき、電気通信政策の観点から検討する必要がある。

 一方、このような動向は、光ファイバ網だけでなく、無線・メタルケーブルについても同様に見られ、また光ファイバ網・無線・メタルケーブルを組み合わせて、自営通信ネットワークを構成するケースもあることから、これらを含め調査・検討する必要がある。  したがって、本調査研究では、地方公共団体等(一部の中央官庁、民間企業を含む。以下同じ)が保有する自営通信ネットワークを網羅的に調査し、それぞれの通信ネットワークの中で、光ファイバ網が無線・メタルケーブルとどのように構成され、いかなる目的に使用されているか等、現状及び将来構想につき把握し、その経済効果を分析することにより、地方公共団体等が保有する自営通信ネットワークの我が国情報通信基盤整備における適切な役割、その活用の在り方について検討する。