郵政研究所研究調査報告書



                                       1997年7月:調-97-VI-04

『定量的方法による通話トラヒックの特性分析に関する研究調査報告書』

                        通信経済研究部主任研究官  宮田 拓司
                                 研究官  高谷  徹
 まず、平成7年度における国内・国際通話の特徴を分析した。

 最も基本的なサービスとして普及している加入電話については、加入数の増加率は2.0%であったが、通話回数の増加率は1.7%と前年度に比べて落ち込み、通話時間は−1.3%と減少に転じた。平均通話時間から見ても、2.85分付近で推移していた状態から2.75分に減少した。平均通話時間の減少は全国的な傾向である。

 自動車携帯電話サービスについては、全国加入数の増加率は、平成5年度末から6年度末までも103.2%と、同時期の加入電話における増加率1.9%に比べ極めて大きいものであったが、平成6年度末から7年度末まででは135.6%というさらに驚異的な伸びを示した。

 PHSは、平成7年度中のサービス開始であり、加入、トラヒックとも大都市周辺に偏っている。また、PHSは加入電話や自動車携帯電話に比べて6%近く県内通話終始率が高く、近距離の通話で多く利用されていることがわかる。

 国際通信トラヒックは1980年代後半から現在に至るまで急激に増加してきており、平成7年度には発信と着信を合わせて6.8億回に達している。通信回数と通信分数の増加率は平成7年度にはそれぞれ14.0%、10.7%であった。通信回数、通信分数共に成長を続けているが、国内電話同様、平均通話分数の減少傾向が見られる。発信分数におけるKDDと国際NCCのシェアの推移を見ると、国際NCCのシェアが拡大を続けており、平成7年度は35.2%となった。

 次に、平成7年度の国内通話トラヒックデータを、交通需要分析で用いられる四段階推定法を参考にして通話需要の分析を行った。

 全通話需要分析では、各都道府県の発信通話量、着信通話量は、人口、各電話の普及状況を説明変数とするモデルで説明できた。発信着信通話量には自動車携帯電話やPHSの普及状況が大きな影響を与えることがわかった。都道府県間の通話量は、二重制約モデルで説明できた。Qアナリシスでは、加入電話、公衆電話、自動車携帯電話、PHSでそれぞれ特徴的な結果が得られた。公衆電話では発信で東京の拠点性が高い。自動車携帯電話では、東京と大阪の拠点性の差が小さい。PHSでは、サービスエリアの制約からか、発信で極端に首都圏の拠点性が高いことがわかった。