郵政研究所研究調査報告書



                                       1997年7月:調-97-VI-05

『郵便局における行政手続きの電子的提供に関する調査研究報告書』

                        通信経済研究部主任研究官  進藤 文夫
                                 研究官  高谷  徹
第1章 調査研究の目的と枠組み
 第1章では、まず、行政情報化の必要性の高まりを背景に、郵便局において各種行政機関による手続きを電子的に提供することの重要性を述べた。次いで、対象となる行政機関、業務分野、手続き事務の種別と処理プロセス等の視点から、本調査研究で対象とする行政手続きについて整理し、調査研究の枠組みを示した。

第2章 行政手続きの電子的提供に関する先行事例
 第2章では、郵便局における電子的行政手続きのモデルとなりうる先行事例を、海外事例、国内事例に分けて整理した。
 海外事例については、郵便局を活用した事例を含め、行政機関が各種の手続きや情報を情報通信ネットワークを介して電子的かつ一元的に提供するワンストップ・サービスの事例を中心に取り上げた。具体的には、米国郵便サービスが提供する行政サービスシステムであるWINGS、米ワシントン州政府のキオスクネットワークであるWIN、シンガポールのワンストップ住所変更報告サービスOSCARS、マレーシアの郵便局を活用した行政サービスネットワークPSN等について整理した。
 国内事例については、ワンストップ・サービスを電子的に提供している事例はほとんど見られないと言ってよいため、業務の一部電子化、手続き窓口の一元化を目指した取り組み、実験について取り上げた。具体的には、自動交付システムによる住民票等の交付、総合窓口サービス、広域行政サービス、行政カードによる住民サービス、郵便局が実施している各種住民サービス、横浜市・府中市のインターネットを活用したワンストップ・シームレス自治体サービス実験、インターネットによる電子公共サービス統合システム、浜松市における電子市役所構想、岡崎市における電子文書証明実験等を整理した。
 いずれの事例からもワンストップ、マルチアクセス、ノンストップによる住民の利便性向上を行うことの重要性が明らかになるとともに、その実現のためには手続きの電子化とネットワーク化が不可欠であることがわかった。

第3章 郵便局における電子的行政手続きの課題と解決方策
 第3章では、第2章までの検討をもとに、郵便局における電子的行政手続きの処理プロセス、設置場所、サービスの種類を検討した。さらに実現のための課題と解決方策を、制度的課題と技術的課題に分けて整理した。

第4章 郵便局における電子的行政手続きの実施・拡張方策の検討
 第4章では、実施・拡張方策として、第1章から第3章までの考え方を再整理すると共に、取り組みを進める上で特に留意する点について述べた。