郵政研究所研究調査報告書



                                       1997年7月:調-97-IV-04,05

『災害時における地域メディアの情報収集体制の強化の在り方に関する調査研究報告書』

                    情報通信システム研究室主任研究官  遠藤 宣彦
                                 研究官  西垣 昌彦
                                 研究官  姫野 桂一
 1995年(平成7年)1月17日に淡路島北部を震源とするM7.2の兵庫県南部地震が発生し、家屋の全半壊が約39万棟、火災が約300件、死者が6,400人以上という都市直下型地震としては、未曾有の地震災害(阪神・淡路大震災)を起こした。

 郵政研究所では、阪神・淡路大震災直後より、災害時における情報の収集・伝達に着目し、被災地内での情報行動に関する調査研究を進めてきた。その結果、災害発生時においては、被災者に対する情報伝達手段としては、テレビ放送、新聞、雑誌等の全国を対象としたメディアより、むしろ地域密着型のコミュニティ放送、CATV等のメディアが有効であることが明らかになった。

 阪神・淡路大震災以降、全国各地で防災情報システム、メディアが構築され、「情報伝達体制」については整備されつつあると言える。これに対し、伝達すべき情報をどのように収集するかという「情報収集体制」については、未だ試行錯誤が行われており、体系的な考え方、有効な方策が見出されていない。

 以上のような背景をふまえ、本調査研究では、コミュニティFM、CATV等の地域メディアの情報収集体制に焦点を当て、その現状と課題や限界等を明らかにし、情報収集体制強化の具体的な方策を検討した。