郵政研究所研究調査報告書



                                       1997年8月:調-97-IV-06

『インターネット等の国際的情報受発信メディアが社会・文化・思想に与える影響に関する調査研究報告書』

                    情報通信システム研究室主任研究官  遠藤 宣彦
                                 研究官  西垣 昌彦
                                 研究官  姫野 桂一
 インターネットや衛星放送等の国際的情報発信・受信手段の登場が、個人の情報の受発信の自由度を飛躍的に高めた反面、従来の社会で培われてきた文化そのものに対する影響や秩序に対する影響が懸念されている。

 そこで、当郵政研究所では、平成8年度に「インターネット等の国際的メディアが社会・文化・思想に及ぼす影響」について調査研究を行った。この調査研究では、インターネットを中心に、現在各国で運用中あるいは検討中の規制に焦点を当てて現状調査を行い、今後の郵政行政の諸施策の検討に資することを目的としている。

 我が国においても、インターネットは1995年以降、急速に普及しており、企業の広報活動や個人の情報の発表の場として用いられる等、その利用内容も非常に多様化している。また、単なる情報入手のための手段にとどまらず、電子商取引等のサイバービジネス分野への展開等への期待も高まっている。

 しかしながら、インターネットは、自由度が逆に、映像、音楽に関わる著作権の保護の必要性、個々の情報の信憑性の確保等、国際的な観点からも様々な問題点をもたらしている上、猥褻情報・暴力の問題等、公序良俗・社会秩序等の問題と表現の自由との関係でも大きな問題を提示している。

 表現の自由という人権の確保の問題と併せて、世界各国がインターネットの普及が自国の社会・文化・思想に与える影響を考慮して、その対応を検討し始めている。

 本調査研究では、インターネットの抱える諸問題について、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ合衆国、シンガポール、中国、オーストラリア等の世界各国が、インターネットをどのように位置付け、どのような取り組みをしているかについて事例を紹介し、今後の我が国におけるインターネットのあり方について述べる。