調査研究報告書


1998年 7月:調−98−Y−01

『沖縄県における情報通信産業集積のための必要方策に関する調査研究報告書』

通信経済研究部
通信経済研究部元主任研究官 進藤 文夫
         元研究官 東海林 義朋

 現在沖縄では各種の経済振興策が進行中である。

 沖縄経済は、本土の2倍近い失業率、基地・財政への高い依存、基地の存在による土地利用の制約、経済活動の中心から遠隔に存在していること等、様々な問題点や不利な条件を抱えているが、その一方で、沖縄の独自の文化・伝統・自然のもつ潜在的なコンテント発言力にも注目が集まりつつある。

 このような状況のもと、沖縄が抱えている不利な条件を克服すると同時に、大量の雇用の確保に直結するコールセンターやヘルプデスク業務、さらには、恵まれた自然環境の中で独創性を活かせるコンテント作成やアプリケーション開発を中心とした情報通信産業への期待が高まっている。一方、こうした期待に応えるべく政府においても、郵政省の沖縄マルチメディア特区構想の推進や、沖縄振興開発特別措置法の改正による情報通信産業振興地域制度の創設など、沖縄県への情報通信産業集積のための施策が講じられてきている。

 本報告書では、このような流れを踏まえ、沖縄が現在の不利な状況を克服し、経済の自立を図るための有力な方策の一つとして、主に情報通信産業が果たす役割について検討した。

 まず、沖縄経済の現状と課題について概観し、続いて情報通信産業集積の方向性について検討した。さらに、最近の技術開発の動向や沖縄県における人材育成の現状を把握し、今後沖縄において先進的に整備すべきアプリケーションについて検討した。