調査研究報告書


1998年 8月:調−98−W−05

『新世代のメディア利用行動に関する調査研究報告書』

情報通信システム研究室 主任研究官  仲島 一朗
            元研究官  姫野 桂一

今回の調査では15〜29歳の若者を対象として、携帯電話・PHSやポケットベル、電子メール等のコミュニケーションメディアの利用状況を調べることを目的として調査を行った。この調査から明らかになったことは、以下に整理できる。

1)携帯電話・PHSとポケットベルの共通点と相違点について
・携帯電話・PHSとポケットベルが普及した要因は、ともに移動体通信、個人財であり、「いつでもどこでも自分の好きな環境でかけられる」という点にある。
・携帯電話・PHSは、ともにプライベートで多く利用されており、もともとコミュニケーションの好きな人のコミュニケーション行動を更に促進させる働きがある。
・携帯電話・PHSが「待ち合わせ」など、実用的な用途が最も多いのに比べ、ポケットベルでは「挨拶」など、相手との関係を維持・確認するための用途が多い。

2)携帯電話・PHS・ポケットベルユーザー及びノンユーザーの特性について
・ポケットベルユーザー、PHSユーザーは、いずれも15〜19歳に多いが、ポケットベルユーザーが極めて社交的で友人が多いのに対し、PHSユーザーは比較的内気で友人とは一線を画したつきあい方をする人が多い。
・携帯電話ユーザーは25〜29歳で利用率が最も高く、経済的余裕やビジネスユースの影響が大きいと考えられる。
・携帯電話・PHS・ポケベル等のいずれも利用しない人の多くは、中学・高校生であり彼らがそれらの機器を利用しない要因として、つぎの2つが考えられる。
 @小遣い額や自由時間の関係で、物理的に利用が困難であること
 A彼氏・彼女、親友など、通話したい相手がいないために必要性が低いこと

3)ライフステージ別メディア利用特性について
・社会人、大学生、中学・高校生の中で、大学生は、時間的・経済的余裕の両方を兼ね備えており、この恵まれた環境がAV機器・通信機器・コンピューターに至るまで彼らの多様なメディア利用状況を生み出している。
・時間的余裕のない社会人、経済的余裕のない中学・高校生は、そのメディア利用が制限される傾向にある。