郵政研究所ディスカッションペーパー No.2000-08

 

 

借入制約と危険資産の選択

 

前第二経営経済研究部主任研究官(現通信経済研究部主任研究官) 春日教測

           特別研究官(横浜市立大学経済学部教授) 松浦克己

 

 

 

[要約]

 

1.本稿の目的は、家計行動において、借入に関する制約の存在が危険資産保有を抑制しているか否かを検証する事である。そのため、借入制約について直接的な質問を行っているマイクロ・データを用いて、まず、どのような家計が借入制約に直面しているかを推計する。この時、逐次プロビット・モデルを用いることにより、借入に関する家計の意志決定と貸し手(金融機関)の意志決定を明示的に考慮できるようにする。次に、得られた借入制約確率を用いて家計の危険資産需要関数を推計し、借入制約と資産選択の関係を検証する。

 

2.実証結果から、先行研究で用いられた単一プロビット・モデルでは、借入制約を十分考慮できていないことが分かった。また、借入制約に直面する確率が高まるほど、家計は危険資産の保有を抑制することが分かった。これにより、我が国家計の危険資産保有が低い原因の一端を明らかにする事ができた。

 

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