2. 通話トラヒックデータに関する整理

最初に、通話トラヒックデータに関する統計整備の現状を把握し、今後どうあるべきかを考える上で、交通関連の統計的整備と対比させながら整理する。

需要分析を行う基礎となる統計調査に関して、交通分野では、都市圏の交通流動を調査分析するための個人ベースの交通行動調査である「パーソン・トリップ調査」、地域間の交通流動を調査分析するための「旅客流動調査」が定期的に行われている。一方通信分野では、各地域の情報の発信、供給、選択可能、消費、蓄積量に着目した「情報流通センサス」 、通話トラヒックの基礎的な集計である「トラヒックからみた電話の利用状況」が郵政省により経年的に作成・公表されているほか、NTTからもトラヒックデータが公開 されている。また、地域間情報交流に関する統計的な資料として、「地域情報力」 、郵政研究所「地域間情報交流の実態把握に関する調査報告書」 がまとめられたこともある。しかし、個人ベースの通信の利用動向調査や地域間交流調査の制度化には至っていないのが実情である。今後、様々な通信に関する分析を進める上では統計調査の整備も重要な課題である。

今回の分析で利用したデータは、電気通信事業法報告規則により各通信事業者から郵政省へ提出された報告データを基礎としている。最新のデータである平成7年度のトラヒックデータを発信側の通話メディアに着目して加入電話、公衆電話、自動車携帯電話、PHSのトラヒックデータに再構成している 。集計単位としては各通話メディアで共通してデータが得られる都道府県を用いた。また、トラヒックの計量単位としては、通話時間を用いた。

また、業務および私用通話需要分析を行うためには「業務」と「私用(住宅用)」の目的別トラヒックデータについて整理する必要がある。しかしこのような区分に対応しているのはNTT加入電話発加入電話着における事務用加入・住宅加入別データのみであるため、今回はそのデータのみを用いて分析している。他事業者の加入電話、公衆電話、自動車携帯電話、PHSも含めて分析を拡張するためには、補完的な利用動向アンケートを行って新たにデータを作成する必要がある 。


加入電話発と公衆電話発に分離された自動車携帯電話・PHSの着信データ、PHSの着信における都道府県通話OD表等、データが存在しないものについてはそれぞれ適切な仮定をおいてデータを推計している。

業務および私用通話の地域間ごとの利用比率を各種通話メディア別に求めることにより、PHSや自動車携帯電話、公衆電話の業務および私用の地域間トラヒックデータが作成できる。



return