6. 私用通話需要分析

本章では平成7年度のNTT住宅用加入電話(加入電話発信加入電話着信)のトラヒックデータを用いて、私用の通話がどのような特性を持っているかを分析する。




6.1. 発信着信私用通話量モデル

NTTの平成7年度住宅用加入電話の都道府県別発信通話量、着信通話量を被説明変数とするモデルを構築した。通話行動に関しては、年齢層による差がかなり大きいことが各種調査から明らかになっており、各都道府県の発信通話量、着信通話量の違いにも影響を与えていると考えられる。そこで、自治省行政局「平成8年住民基本台帳人口要覧」をもとに、平成7年度末の年齢区分別人口割合を説明変数とする式12、式13によって推計を行った。




重回帰分析を行った結果を表 6-1と表 6-2に示す。



表 6-1 私用発信通話量モデルの推計結果



表 6-2 私用着信通話量モデルの推計結果



発信着信共に、自由度修正済み決定係数は0.64程度であり、業務用と比較して説明力は小さいモデルとなった。発信・着信いずれでも通話需要に対しては20歳以上40歳未満の年齢層の影響が極めて強いことがわかる。一方で20歳未満は負の影響を与えており、電話の需要が相対的に少ない。 発信と着信を比較してみると、20歳以上40歳未満の影響が極めて強いこと、20歳未満の影響は負であることは共通であるが、40歳以上60歳未満の影響は符号が異なっている。また、着信の方が年齢層による差が大きい。




6.2. 地域間私用通話量モデル

4.2、5.2と同様にNTTの平成7年度住宅用加入電話の都道府県間通話量を被説明変数とするモデルを構築した。


表 6-3 私用地域間通話量におけるkとa

推計されたkは5.2で述べた業務用と同様、域内距離として用いられる場合が多い1よりもかなり小さく、通話の域内距離はかなり小さいことがわかる。また、業務用におけるkよりも小さくなっており、NTTの加入電話発加入電話着のデータを見る限り業務用よりも同一県内に通話が集中する傾向が強い。 同様にaは業務用より小さくなっており、物理距離による通話の減少の度合は業務用よりやや緩慢であることがわかる。

収束計算によって得たAiとBjは4.2、5.2と同様、共に大都市を有する都道府県で小さく、そうでない都道府県で大きい傾向が見られた。このAiとBjを用いて推計したT'ijと実績値Tijの相関係数は0.9877であった。




return