郵政研究所月報
1998.1
インターネットの抱える諸問題と今後の展望
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インターネットに関する問題の中で、最近、知的財産権に対する関心が高まってきている。知的財産権は従来から、いわゆる特許権、意匠権、著作権等の無体財産権を総称する言葉として使われているが、インターネットに代表されるデジタル情報を扱う電子メディアの急速な普及が、知的財産権について様々な問題を起こしつつあり、そのための対応も急務となっている。 インターネットの情報流通は、情報がデジタル形式によって、送られるため、コピーしても品質が劣化しないという特徴がある。また、情報が国境を容易に越えられることもあり、知的財産権の保護に関して、サーバーを法規制の緩い国(パテントへヴン、コピーライトへヴン)に置くことを助長することも否定できないことが指摘されている。 我が国においては、インターネットの利用に関し、知的財産権については、本格的な議論が開始されたばかりであるが、その代表的な論点としては、ネットワークを通じて流れる著作物の不正コピーなどの著作権に関する問題があげられる。 この点に関しては、1996年12月に締約されたWIPO著作権条約(WIPO Copyright Treaty)及びWIPO実演家・レコード条約(WIPO Performances and Phonograms Treaty)を受け、1998年1月から施行された改正著作権法においては、通信カラオケやインターネット等のリクエストを受けて行うインタラクティブ通信において、著作隣接権として「送信可能化権」が認められることとなった。 インターネットに代表されるコンピュータネットワークが急速に普及している今日においては、ネットワーク上のメディアの情報流通にかかる知的財産権の保護の在り方について、法的な対応だけでなく、電子透かし等の技術的な面からも対応していくことが極めて重要になると考えられる。 |