モデルと含意: 企業は、それぞれ1単位の資金を必要とするプロジェクトを持っており、qの確率で成功する。成功収益はθ、失敗すれば0。担保となる資産εは、[0,εu]の範囲に分布する。株主は有限責任であり、支払条件は、
成功の場合 r 確率q 失敗の場合 ε* 確率1−q
成功時にrを支払わなければ、将来の利益機会(現在価値v)を失う。支払履行条件は、
r≦ε+v …@ 特に r=ε*+v …@'
民間銀行の期待利潤関数は、ρを(限界的な)資金コストとすると、
E(π)=qrL+(1−q)ε*(L)L−ρL−C(L) …A
ε*=(ρ+C'−qv)/(1−η) …B , η=−(L/ε*)ε*'>0…C
公的金融機関は、収支相償と@'の制約の下で行動するから、
ε*P=ρP+CP/L−qv …D
費用関数を二次関数と仮定すれば、
民間金融 r=(1−η)−1{α−ηv+ρ+βL+(1−q)v} …E
公的金融 r=α+β/2*L+γ/L+ρP+(1−q)v …F
このモデルの主要な含意は、次の二つである。
- (1)公的金融は、カウンターシクリカルな貸出を行う可能性がある。
- (2)公的金融は、同一の利子率でよりリスクの大きい借り手に対する貸出を行うことができる。