郵政研究所ディスカッションペーパー・シリーズ 1998-17



信用取引制度に内在するオプションコスト



谷川 寧彦
古家 潤子※※



1998.10.30


* 郵政研究所客員研究官(大阪大学大学院経済学研究科助教授)email:tanigawa@econ.osaka-u.ac.jp
** 郵政研究所第二経営経済研究部研究官email:koie@iptp.go.jp

[要約]

 市場を設立し維持するためにも経済資源は必要であり,市場取引の参加者(利用者)がどういった形でどれだけこの費用を支払っているかは,市場取引メカニズム自体の効率性を検討する上で必要である。こうした問題意識から,この論文では株式市場における信用取引制度にかかる取引費用とその大きさを投資家の立場から分析し,1)追加証拠金(追い証)と品貸料(逆日歩)という仕組みのため,信用取引のカラ売りポジションには,2種類のオプションが内在しているという新しい見方を提示し,2)転換社債における逆乖離の日々データを用いることで,この観測できないオプション・プレミアムが実際にも無視できないと解釈できる実証結果を得た。



1. はじめに



2.信用取引制度に内在するオプション

2.1 証拠金

2.2 品貸料

2.3 信用取引のコスト

2.4 逆乖離



3.実証分析

3.1 データ

3.2 逆乖離率の計算方法とその頻度

3.3 実証方法

3.4 実証結果



4.考察



5.まとめ



6.参照文献