研究

季刊 個人金融2026年秋号

発行年月 2026年10月

特集 

家族形態の変化と暮らしへの影響Ⅰ ―「ソロ社会」の進展と生活保障の再設計―

単身世帯が全世帯の約40%を占めるようになり、いわゆる「ソロ社会」(生活、消費、価値観の基礎単位が家族から個人へと移行した社会。博報堂の荒川和久氏がその著書でネーミングしたもの)化が急速に進展しています。
本号では、家族形態が大きく変化し、単身化・未婚化が進んできた要因とその実態を明らかにし、特に単身高齢者において社会的孤立リスクが高まっている現状を紹介しました。
また、「ソロ社会」の進展により深刻化している住宅問題についての処方箋を提示するとともに、第3号被保険者制度の見直しについて解決策を提示し、さらに、家族形態やライフコースが多様化する中での従来の家族形成を前提としないライフプランニングについて問題提起を行いました。

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目次

特集

核家族から単身社会へ:家族形態の歴史的転換とその特徴

立命館大学産業社会学部教授 筒井 淳也

【ポイント】
戦後日本の社会保障や雇用慣行は「夫婦と子」世帯を前提としてきたが、単独世帯が増加し、家族形態は大きく変化している。今後は未婚の高齢単身者が増え、経済的自立度にも差が生じるほか、男性・無配偶者を中心に社会的孤立のリスクも高まる。家族を支え手とする従来の生活保障の見直しが求められている。

    単身高齢世帯の増加と「社会的孤立」及び「貧困」リスクへの対応

    日本福祉大学福祉経営学部教授
    みずほ総合研究所(みずほ銀行内の組織)特任研究員 藤森 克彦

    【ポイント】
    単身世帯は増加を続け、今後も単身高齢者の増加が見込まれる。単身高齢者は社会的孤立や貧困のリスクが高く、支援ネットワークや居場所づくりが重要である。特に未婚・離別女性では低年金による貧困が深刻であるが、将来的には貧困リスクが低下する可能性がある。

    ソロ社会と住宅問題
    ―賃貸住宅政策の欠如がもたらす単身高齢者の居住貧困

    追手門学院大学地域創造学部教授  葛西 リサ

    【ポイント】
    単身世帯が増加する「ソロ社会」では、標準世帯を前提とした持家中心の住宅政策と、実際の住生活ニーズとのミスマッチが生じている。特に低所得・低資産の単身高齢者は、民間賃貸住宅への入居も難しく、住居確保が困難である。そのため、持家政策から転換し、賃貸住宅を社会保障として再構築する政策の充実が求められる。

    第3 号被保険者制度をどう見直すべきか
    ―制度の発足と見直しの過程から考える

    下関市立大学経済学部准教授  横山 寛和

    【ポイント】
    国民年金第3 号被保険者制度は、専業主婦の年金受給資格を保障するために導入されたが、女性の社会進出などにより見直しが求められてきた。単純な廃止は所得保障を損なう恐れがあるため、被用者年金の適用拡大を基礎に、複数の見直し策を組み合わせることが現実的である。

    配偶者・パートナーの有無からみた家計行動とライフプランニング
    ―時系列ライフイベント起点から将来起点への転換― 

    三井住友信託銀行㈱ ライフアドバイザリー部
    三井住友トラスト・資産のミライ研究所研究員(所属は執筆時)  矢野 礼菜

    【ポイント】
    家族形態やライフコースが多様化する中、従来の家族形成を前提としないライフプランニングが求められている。配偶者・パートナーの有無によって資産形成や将来への備えなどに違いがみられる一方、日常的な家計管理には大きな差はない。本人が望む将来のありたい姿から、必要な選択や備えを逆算する「将来起点」のライフプランニングが重要である。

    ※【ポイント】は事務局で作成したものであり、執筆者の承諾を得たものではありません。

    支援活動フロントライン

    NPO 法人東京都自閉症協会における成年後見プロジェクト 

    NPO法人東京都自閉症協会 副理事長  吉田 庸子

    書評

    馬奈木 俊介・大塚 美幸【共著】
    『ウェルビーイング経営の教科書』

    神戸大学大学院経営学研究科教授  鈴木 竜太

    日野佳恵子【著】
    『彼女は誰かのためにモノを買う ―女性インサイトマーケティング理論―』

    実践女子大学人間社会学部准教授  井上 綾野

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